旅のお話
山の里に海の神様が、なぜ???
福島県飯館村草野字宮内の綿津見神社
福島県飯館村は阿武隈山地にある標高500mほどの高地性盆地の村です。
この飯館村には綿津見神社という神社があるのですが、『 ワタツミ 』という言葉は海に関係がありそうだと、誰もが直感的に思うことでしょう。
万葉集には、有名な天智天皇の次の歌があります。
わたつみの豊旗雲に入日さし今夜の月夜さやけかりこそ
~海上に豊かにたなびく雲に落日が輝き、今夜の月は清らかであってほしい。
さて、綿津見神社の祭神は次の五柱の神様です。
闇於迦美神(クラオカミノカミ):日本書紀では、イザナギノミコトが火の神カグツチを切ったときに生まれたとされています。クラは谷の、オカミは龍の古語ということです。龍や谷から、水の神様であると思われます。
(日本書紀の中で火の神様と水の神様がセットになって出てくるのも面白い)
五十猛神(イソタケルノカミ):イザナギノミコトの子の、スサノウノミコトの子。ですから、闇於迦美神の甥または従弟(?)。林業の神(=山の神では?)として信仰されています。
大綿津見神(オオワタツミノカミ):イザナギとイザナミの間に生まれた神。「ワタ」は海の古語、「ツ」は「の」を表す上代語の格助詞、「ミ」は神霊のことですので、「オオワタツミ」は「大いなる海の神霊」ということになります。
玉依姫神(タマヨリヒメノカミ):大綿津見神の娘。海幸山幸の神話の山幸彦こと火遠理命 (ホオリノミコト)の妻となって、ウガヤフキアエズノミコトを産んだ。安産の神とされているようです。
なお、ウガヤフキアエズノミコトというのは、日本の初代天皇である神武天皇の父親。
鎌倉権五郎景政の神霊:(?) ---> 謎解明、鎌倉権五郎景政とは
をご覧ください。
それでは、気が遠くなるような神話の世界から、現実の世界に戻りましょう。
闇於迦美神と五十猛神は飯館村地域の『 山 』とは切っても切れない関係があるのだろうと思います。阿武隈山地の村ですから、山の神様との関わり合いは太古の昔からずっと。
しかしこの神社の名前につながっているのは、海神の大綿津見神。日常の暮らしとの関わり合いが深い山の神様ではなくて、海の神様なのです。
これは大いなる謎なのでは?
いやいや、そうは言っても、大綿津見神の娘のお婿さんは山幸なんだよ。ここは娘婿に免じて・・・。
う~~~ん、納得できませんね。
こうなったら綿津見神社だけでなく、飯館村のもっとたくさんの神社を調べてみないといけませんね。
海の神様をお祭りする綿津見神社の他に、山の神様をお祭りしていると思われる山津見神社がありますので、次回は山津見神社を訪ねてみたいと思います。
◇ 旅の写真 山津見神社(令和7年10月 記)
綿津見神社

令和7年9月 記
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